『ぼくの守る星』 神田茜さん最新作〜王様のブランチ

2014年3月8日 王様のブランチ イチオシ!Bookmark で紹介された神田茜さんの『ぼくの守る星』です。

作家の神田茜さんは、
2007年に平凡な女性の日常を繊細に描いた『フェロモン』で作家デビュー。
続く『女子芸人』では、第6回新潮エンターテイメント大賞を受賞。

自らの経験を投影させユーモアあふれる作風でいま注目を集める作家でありながら、
20年以上のキャリアを持つ女性講談師でもあります。

そんな神田茜さんの最新作が、
ユーモアと優しさにあふれた物語『ぼくの守る星』です。

『ぼくの守る星』のあらすじ

主人公の夏見翔(中学2年生)はクラスで一番勉強が出来ない。
なぜなら、字の読み書きが困難になる「ディスレクシア」という障害があるから。

それを誰かに知られるのが怖くて学校ではいつもビクビクしていた。
そのせいで学校でも突拍子もない発言を繰り返してしまう。
しかし、何故かクラスメイトからは面白ことを言うと受け入れられていた。

そして、息子のハンディキャップを受け入れられずにいた母・和代。
失敗を個性だとして許してもらえるほどの才能を翔けるは持っているのだろうか?
息子の才能を伸ばそうと翔のためにかなりの時間と体力をつぎ込んでいた。

翔はもがきながら日々を過ごしていた。
しかし、翔にはいつも一生懸命な母親がいる。
大切なモノを分かち合える友だちもいる。

母の起こした事件で家族がバラバラになってしまった中島まほり。
彼女は春休みに死のうと考えていた。
そんなまほりを救ったのが純粋な翔の心だった。

生きていくのに挫けそうになったとき、
誰かの優しさが誰かをきっと救う。

心優しい子どもたちが、
たくましく成長する姿が描かれた物語。

生きることの難しさと命の温もりに触れられる1冊です。

神田茜さんの『ぼくの守る星』への思い

小説を書くきっかけは?

講談がヘタで辞めてしまおうかと思ったときに
自分の体験を講談にしてやってみたらお客さんが笑ってくれました。

嬉しくて新作講談を作っていたら、
それが溜まりに溜まり本にならないかと編集者に見てもらったところ
小説に書き直したらと言われて小説を書き始めました。

最初はギャグがある笑わせるような小説を最後まで書いてみるんですね。
そうすると主人公が「それは違うよ」と言っているような気がして、
登場人物の声を一生懸命に聞きながら書き直しました。

活字になってみると自分が書いたと思えない感じ。
登場人物が成長したなと、自分で読んで涙が出てきました。

『ぼくの守る星』を書くきっかけは?

身近に「ディスレクシア」の少年がいて、その子がとっても魅力的。

本人は読み書きが苦手で凄く悩んでいるんだけど、
すごく思いやりのある少年で人の痛みがわかるんです。

そういう事が大事で、
その子を主人公に書いてみようと思いました。

『ぼくの守る星』に込めた思い

命をかけて守りたいと思う人に出会うことの素晴らしさ、
恋の素晴らしさを伝えたい。

私には中学生の息子がいます。
親孝行するよりも、
自分の人生かけても守りたい人と出会ってもらいたい。