ホラーサスペンス狂気の愛を描いた『リターン』五十嵐貴久/著〜王様のブランチ

2013年7月13日 王様のブランチ 五十嵐貴久さん最新作、狂気の愛を描いたホラー・サスペンス『リターン』。

第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した、五十嵐貴久さんのデビュー作『リカ』。

妻子を愛する会社員・本間隆雄は、出来心で始めた出会い系サイトで“リカ”と名乗る女性と知り合った。
しかし、彼女は恐るべき怪物だった・・・。

最新刊「リターン」は、「リカ」の10年後を描いた物語。

リターンのあらすじ

ある朝、高尾の山道で変死体が発見される。
手足と顔のパーツが切り取られスーツケースに詰められたその死体は、10年前“リカ”によって執拗なストーキングにあっていた本間だった。

「この10年間、リカと本間はともに暮らしていた。」
「手も足もない本間とだ・・・」

愛する本間を失った狂気のストーカー“リカ”。
再び動き出し壮絶な惨劇を招く。

心の闇を抱えた“リカ”はどこにいて何を考えているのか?
過去の未解決事件を扱うコールドケース班の尚美は、同僚のたか子とともに捜査に加わった。

狂気の女リカと2人の女性刑事との心理戦はどんな結末を迎えるのか?
ラストには驚きの展開が待っている。

異常者には異常者なりのルールが有る。

五十嵐貴久さんの『リターン』への想い。

作家・五十嵐貴久さんは、警察小説「交渉人」や青春小説「1985年の奇跡」、時代小説「安政5年の大脱走」など、ホラーに限らずさまざまなジャンルの作品を発表しています。

2007年、舘ひろしさんと新垣結衣さん共演で話題を呼んだテレビドラマ「パパとムスメの7日間」の原作者でもあります。

『リカ』を読み返してあの後10年経ったけど「どうしているのかな?」と考えたのが『リターン』を描く切っ掛けになったそうです。

「リカについては可哀想な人だと思って描いています。
普通のやり方でアプローチしていけばいいのに、本当の意味で自分の物にしたくなってしまう。男性を好きになって純粋のあまり突き抜けてしまう、究極の愛みたいなものを書いてみたかった。」

突出した愛の形を描いた『リターン』。
五十嵐貴久さんが伝えたかったのは「女は怖いよ・・・。男は嘘をついてちょっと申し訳ないなと思う部分があったりするが、女性は平気な場合がありますよね。」
奥様については「怖いですよ」と話していました。

戦慄のラストシーンは、「あんまり現実離れをしたことをやると怖くないのでは?」
と思い書き足したそうですが、「読んじゃいけないものを読んじゃったのでは・・・。」と思わせる精神的な怖さがあるそうです。

『リターン』を読んだ本仮屋ユイカさんの感想

本を読んでいると自分も女刑事と一緒にリカを追っているのに、いざリカと対峙すると「捕まえたいけどリカにあったらどうしよう・・・」と追い詰められている感じが怖く、人間の女性のサガを感じよけい怖くなるそうです。

手が震えてページがめくれず、「キャー!イヤー!」と叫びながら読んでいると、家族に「何が合ったの!」と心配されるくらいだったそうですよ。

「読み終わった後、体感5℃くらい下がって涼しくなりました。」