『花火』ピース・又吉直樹/著 王様のブランチ

2015年3月14日 王様のブランチ ピース・又吉直樹/著 「花火」の紹介です。

ピースの又吉直樹さんは、芸能界くっしの読書家としてしられ、
エッセイやコラムなどでその文才を高く評価されています。

初の純文学作品「火花」は、掲載された文芸誌で、
異例の増刷になるなど話題をよんだ
累計発行部数・25万部話題の小説「火花」。


「花火」のあらすじ

花火大会の余興イベントで漫才を披露した
駆け出しのお笑い芸人の僕(徳永)
花火の音に声はかき消され誰も見向きもしない最悪の舞台を終えて
次のコンビとすれ違う。
その瞬間「仇とったるわ」と呟く声が聞こえた。
あほんだらというコンビ名の彼らは、観客に喧嘩を売るかのように怒鳴っていた。

これが僕と先輩芸人・神谷さんとの出会い。

花火大会のあと、居酒屋の片すみで僕と神谷さんの師弟関係の契がむすばれた。
人とちがう面白い漫才を追求する神谷さんは、日常の行動のすべてが漫才の一部と考えていた。

共感ではなく、独自の笑いを追求する神谷。
自分の笑いを認めてもらいたい僕。

次々と後輩が売れていくなか、2人が歩んだ先にあるものは・・・。

「才能」とはなにか「生きるとはなにか」
2人のお笑い芸人がそれぞれの道を模索する青春小説。

笑いと感動が胸をうちます。

なぜ芸人を主人公にしたのか?

芸人はコンビのことを語られることはあるんですが、
先輩後輩の関係性も不思議な感覚なんです。

基本、先輩が後輩にご飯を食べさせる。

オリラジのあっちゃんとは仲中がいいんですが、
(又吉さんはあっちゃんのNSC東京校・5期先輩)
あっちゃんがものすごく売れ、僕は風呂なしの部屋に住んでいる
そんな状態なのに全ておごっていました。
5分おきにトイレに行って財布確認していましたね。

芸人の世界の先輩後輩でしか起こりえないようなこととかあって
独特だな〜と思って。

「漫才師やからめっちゃ酒を飲まなきゃあかん」とか、
「ギャンブルせなあかん」とか、「女遊びせなあかん」とか、
そういうのをやっていっている人って、芸人に憧れているだけで
実はそんなに芸人じゃないとちょっと思ってて
「芸人はこうあるべき」とか嫌いなんですよ。
「漫才師はこうあるべき」とか、「男はこうあるべき」とか
言われるのが面倒くさくて、「何しててもええやん」。

「周囲や流行に惑わされず、自分にしかできない笑いを純粋に追い求める。」
これは、若手時代から又吉さん自身が抱いてきた思いです。

又吉さんの「花火」への思い

「共感できるものしか認めない」という風潮がめっちゃあるなと思うんですよ、共感してなくても面白いものってあると思うんです。

自分は共感を得られるタイプじゃないんで、
「存在は認めてくれ」「おったらあかんやつにたいにすんな」
「あったらあかん小説にもしてほしくない」「あったらあかん音楽もない」
「あんねんから」って思うんです。
「共感できなくても理解をしてほしい」と子供の頃から思ってました。

「花火」で伝えたかった思いは、
いろんな人がいて、常識からはじかれている人もいて
そういう人もいていいし、「無駄じゃない」って思いたい。

どんな人が、どんな形でも「生きていていい」と
自分で思いたいんだろうなと思いました。