「ブランチBOOKアワード2011」新人賞 大野更紗/著『困ってるひと』〜王様のブランチ

2011年12月24日の王様のブランチ「ブランチBOOKアワード2011」。今年の新刊の中から王様のブランチのイチオシ本を部門別に決定。新人賞に輝いたのは 大野更紗/著 『困ってるひと』です。

『困ってるひと』大野更紗/著 のあらすじ

ミャンマーの難民問題に取り組む大学院生だった大野さんが、突然難病を発症。
体中が痛み出しやがて、動くことも困難に。

「どうやっても自力歩行が困難」
「いたーーーい いーたーい いたいいたいいたいいたい!!!」

病名は「筋膜炎脂肪織炎症候群」。

「検査が激痛、耐えがたい」
「痛い、痛い と泣きわめき、気絶しそう」

耐えがたい激痛を伴う検査。
麻酔なしで行われる手術。
そしてどんどん増えて行く薬の量・・・。

「困難に困難を塗り重ね、試練のミルフィーユか!わたしゃブッダか!」

壮絶な闘病の日々を時に切なく、時にユーモラスにつづったエッセイです。

いつでも前向きな大野更紗さんが「困ってるひと」に伝えたい事は?

病院を退院し、社会の中で難病と向き合っていく覚悟を決めた大野さん
現在はヘルパーさんの手を借りながら都内で一人暮らし。
執筆のほか講演会など、様々な活動を精力的に行なっています。

『苦しければ苦しいほど、大変であれば大変であるほど、孤独感は強くなると思うんですが、必ず聞く人はいるし聞いているし、少なくとも他の人と話すことをやめないこと。
色んな人に話をすることは、色んな視点が入るということ。
これしか解決策がないとその時点は思っていても、もしかしたら他の人は違うアイデアを持っているかもしれない。』

大野更紗さん2012年に向けて

『2011年は、私個人にとっても、この世の中に生きる人にとっても激動の一年だったとお思います。これからも大変なことがいっぱいあると思いますが、粘り 粘り 粘り 粘りで絶賛生存しようという感じですね。』

『困ってるひと』大野更紗/著 のオススメポイント

『大野さんの精神的な強さを感じます。大野さんが恋をするんですが、そこからまた一段と強くなるんです。本当にこちらが勇気をもらいました。』(優香さん)
『人としての強さ美しさ。すごいパワー。』(30代女性)
『難病物で笑えるものは、これがはじめてではないか。』(20代男性)

「エンタメ闘病記」という新しいジャンルを開拓したという所が、この作品の素晴らしいところです。闘病記と聴くと、とにかく辛いというイメージがありますが、この本は面白いです。
ほぼ前例のない難病に遭遇した20代の女子が、ほんろうされながらも前向きに進んでいく様子が、ダイハードをみているようにハラハラドキドキ。
読み終わった時に勇気の湧いてくる本です。