柚木麻子さんの最新作『ナイルパーチの女子会』あらすじ〜王様のブランチ

2015年4月26日 王様のブランチで紹介された、女性同士のいびつな友情を描く、柚木麻子さんの最新作『ナイルパーチの女子会』です。

柚木麻子さんは、ベストセラー『ランチのあっこちゃん』や直木賞候補にもなった『本屋さんのダイアナ』など女性同士の複雑な関係性を繊細な心理描写で描くいま注目の作家。

最新巻の『ナイルパーチの女子会』は、山本周五郎賞の候補にも選ばれた話題作です。

ナイルパーチの女子会』のあらすじ

主人公は大手商社につとめるキャリアウーマン・志村栄利子(30)。

彼女の密やかな楽しみは同い年の主婦がつづる人気ブログ「おひょうのダメ奥さん日記」を読むこと。
独自の価値観で記されるおひょうの自然体の文章が栄利子の張り詰めた神経をほぐしていた。
もう一人の主人公、ブログを更新する専業主婦おひょうこと丸尾翔子(30)。

学歴も職業も育ってきた環境も違う2人。
共通していたのは女友達がいないこと。

生態系を壊すナイルパーチのように違う価値観をもつ2人が出会った悲劇。
栄利子と翔子それぞれの視点から女同士の友情をリアルに描く。

偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子
2人は自宅近くのカフェで出会った。

同姓の友だちがいないというコンプレックスもつ2人は親しくなっていく。
しかし、その友情は思わぬ方向に進んでいく。

ある日ブログを数日間アップしなかった翔子を心配して自宅マンション前に突然栄利子が現れる。

「私家の場所なんて教えたっけ・・・」

栄利子はブログにアップされていた写真を頼りに翔子の家を特定していた。
完璧な友情を目指すあまり行動がエスカレートしストーカーのようになっていく栄利子。

追い詰められ狂っていく2人の友情の結末とは。
生態系を壊してしまうナイルパーチのように友だちを壊してしまう女性の物語。

柚木麻子の『ナイルパーチの女子会』への思い

ナイルパーチとは魚の名前で、普通の魚だったのですがビクトリア湖に放流させられた事により、生態系の競争に巻き込まれてまわりの魚を食い荒らしてしまうようになりモンスター呼ばわりされてしまう可哀想な魚なんです。

現代日本で競争をしいられていることは男性にも女性にもあり、まじめな人ほど戦ってしまう。それが後に悲劇を生むのではないか・・・すごくおもしろいなと思いこの小説が生まれました。

生存競争をしいられて獰猛になったと言われる肉食魚・ナイルパーチ
それは人間にも起こりうることで、そうした競争から楽になる、人と競わせるルールから背を向ける、そこから出会える本当の友だちを大事にしてほしい。

「読んで楽しい話じゃないので、楽しい気持ちになりたい方は“ランチのあっこちゃん”がいいと思います。」

「嫌な気持ちになる人もいると思うので無理強いはしません。」